施術考察 ケース2-③ PRPを行う予定だったが、インソールを使用し膝の痛みが大幅に改善したケース
みなさまこんにちは!八丁堀鍼灸治療院Rinealの見澤でございます!
前回の記事(施術考察 ケース2-②)ではタイトルの通り、クリニックでPRP療法を行う予定だった患者様が、インソールを使用し始めたら膝の痛みが大幅に改善し、治療を受けずに経過観察となったケースについて①に引き続きお話させていただきました。
今回は前回の続きとなります。今回の記事ではどのような原理で痛みが軽減してきたのかということについて考えていきたいと思います。
では早速ですが、前回の内容のおさらいからしていきたいと思います!
目次
・前回の内容
6.インソールを使用して得られた効果
7.インソールの適応と限界
前回の内容
4.インソール作成の手順
インソール作成の手順の項目では、当院でのインソール作成の流れをご紹介しました。カウンセリングをもとにお身体の状態と、実際の歩きを見てどのようにインソールの設計図を書いていくかを評価していきます。評価の中では、実際にお身体を触るだけではなく、条件を付けて歩いたり、実際に痛みが出る動きを行っていただき、身体の使い方をチェックしていくということも行います。
仮の設計図が出来上がったら、それに基づきテーピングやパッドを使用し、実際に作るインソールの効果と同等に近い条件で歩いていただきます。
そこで再度歩行を観察して、必要があれば微調整を加えていくという作業を行います。
5.実際の設計図内容
今回のケースの方の場合では、評価結果から、内側半月板の前方もしくは大腿骨内側顆前方での軟骨の損傷がある様子でした。そのため、膝が伸びた状態でO脚方向へのストレスが加わると損傷部位に負荷がかかってしまいます。その動きを繰り返すことで、負荷がかかった部位が炎症を起こしたり、強い痛みを生じたりする可能性があります。
今回のインソール作成では、その部位に負荷がかかりすぎないよう、負荷がかかる場所を少しずらし、炎症や痛みを生じさせなくするよう調整できることが第一の目的となります。
前回の記事に掲載した運動連鎖の図にもありますが、距骨下関節(足首を捻る動きをする関節)や足部の骨の動きに伴い、脛の骨(脛骨)や太ももの骨(大腿骨)の動きが変化していきます。それを利用し、損傷部位の負担を避けるような脚の使い方が自然に行われるようなインソールを作成します。
6.インソールを使用して得られた効果
インソールを使用して得られた効果に関してはすでに大半は前回のおさらいのところで書いた、目的と同じような内容になってきます。
まずは「痛みを出なくする」という点です。
痛みの出る理由としては先ほども書きましたが、同じ部位に負担がかかりすぎると、そこの部位の軟骨や組織が摩耗していきます。そうすると、組織が炎症を起こし強い痛みを生じます。
そのため、先にお話しましたが、損傷部位への集中した負荷を減らすことで、痛みが出にくくなったと考えられます。つまり、今回作成したインソールをしようすることで、損傷部位への負荷を減らすことができたということになります。
また、インソールを使用して身体の使い方のバランスを整えることによって、本来使うべき筋肉を使うようになってきたとも考えられます。筋肉の硬さや弱化によって、本来使うべき筋肉がうまく使われておらず、代わりに使っていた筋肉を使いすぎて痛めてしまうということはめずらしくありません。そういった身体の使い方の問題での痛みに関しても、インソールを使用することは効果的です。
今回のケースの方では、サッカーをし終えると膝に痛みが出ていますが、やはりサッカーをしているときに繰り返し同じところに負荷がかかり炎症を引き起こしていたのだと思います。骨と骨の接触位置がちょっとずれることにより、つよい炎症を引き起こさず、痛みが出にくくなったのではないかと思います。
7.インソールの適応と限界
インソールの使用が適している人はどんな人かということについてです。
インソールを使用した方がいい人は、、、「全員」だと思います。ただし、自分に合った適切に作られたインソールに限りますが。
インソールを使用することで、身体の使い方が整えられ、自分の身体にあった使い方が行えるようになります。そのため、普段の生活で、靴を履いて歩くことがある人、靴を履いて立っていることがある人は全員インソールを使用した方が良いのではないかと思います。
では逆にインソールはそんな万能なものなのかということについてです。
これだけ聞くと、インソールを使用すると足腰の痛みは何でも取れてしまうのではないかと思いますが、実際にインソールだけで解決しない問題というものもあります。あくまでインソールでは身体の使い方はサポートできますが、使えていない筋肉を使えるようにすることや、弱った筋肉を鍛えることはなかなか難しいです。
そのため、やはりインソールの使用と併行して運動やリハビリを行っていくことが最適解だと思います。
また、靴を履いていない場面では使用できない、作成に費用が掛かる、作成者によって出来上がりに差があるといったデメリットもあります。
ただし、そのデメリット以上に得られるメリットが多いので、治療法としてはぜひ取り入れていきたいものとなります。
費用対効果の高い治療方法だと思いますので、脚の痛みで悩まれている方はぜひ試してみるのをおすすめします。
まとめ
今回は施術考察としてインソールを作成して、当初受ける予定であったPRP療法を行ずに済んだケースの方をご紹介いたしました。
インソールで得たい効果は人により異なります。というよりはひとりひとり身体の使い方が違うので、同じ形で多くの人が効果を得るのはなかなか難しいです。しかしすごく効果の出やすい治療方法ではあるので、ぜひ試してみる価値はあります!
では本日の記事は以上になります
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