施術考察 ケース1-④
みなさまこんにちは!Rinealの見澤です!
今回で4記事目になりますが、これまでの3記事では施術時の考え方や改善点の出し方などを実際のケースに基づいて書かせていただきました。今回は改善すべき点に優先順位をつけ、どのような施術方法を提案させていただくか、また、どのようなセルフトレーニングを行っていただくかについて考えていきたいと思います。
前回、前々回の記事をまだ見られていない方はこちら(施術考察 ケース1-①)、(施術考察 ケース1-②)、(施術考察 ケース1-③)からご覧ください
では、前回の内容のおさらいからしていきたいと思います!
前回の内容
前回までに脚の太さに関するお悩みを引き起こしている原因(問題点)の抽出を行いました。今回挙げた問題点は以下の通りになります。
1.座位・立位とも骨盤前傾をとっており、股関節内旋位となっている。
7.①股関節の伸展制限、腸腰筋、大腿筋膜張筋の硬さ、脊柱起立筋群、多裂筋の過緊張と硬結 ②股関節にわずかに不安定性がある、前捻角が若干大きい、臼蓋の浅さがある可能性がある
5.脊柱の全般的な屈曲制限、胸椎も屈曲(丸まり)が制限されている。脊柱起立筋や多裂筋が過緊張(力が抜けにくい状態)、後頭下筋群(後頭部につく筋肉)や後頚部(首の後ろ側)にある筋の硬さ
2.3.立位姿勢では、骨盤前傾・胸椎前弯があることで後方重心になっているのを股関節と膝と足関節の屈曲でバランスをとっている。大殿筋・中殿筋に力があまり入っておらず、大腿筋膜張筋(股関節を屈曲、外転する筋肉)や大腿四頭筋をよく使っている。大腿筋膜張筋・大腿四頭筋の硬さ
6.4.大殿筋・中殿筋の筋力低下、筋持久力低下。腹横筋の収縮が入りにくい、腹圧が低下、殿筋の収縮が起こりにくい
今回の記事では、これらの中から施術をしていく優先順位をつけること、治療方針を決めていくところから考えていきたいと思います。
治ることと治らないこと
優先順位をつけること、治療方針を決めていくことといいましたが、その前に大前提として治療院で改善が見込めるものと改善が難しいものというのはしっかりと分けて考えたいと思います。
まず、すり減った軟骨や損傷した半月板(一部を除く)は血液供給が乏しく(血管が分布していないため)、基本的に回復は見込めません。そのため、治療院や接骨院で治すことはできません。
また、折れた骨をその場でくっつけることもできません。損傷を受けた神経をすぐに治すことも難しいです。
そのため、「骨の形を治す」という治療目標は的外れになります。
ですが、「骨の形をこれ以上悪くしないような体の使い方を身に着ける」や、「筋肉が原因である関節の変形(アライメント不良)を正す」、「負担が一か所にかかっているのを分散させる」、「膝や股関節などの痛みを減らす」、「体の使い方を変えて、脚の太さを改善する」、「スポーツなどの運動で必要な動きができるように、よりよい体の使い方を身に着ける」といったことは行えます。これらを具体的に細かく目標として設定していくのが好ましいと思います。
今回のケースでは、骨の形的な問題である「前捻角の増大」、「臼蓋が浅い疑いがある」点に関しては改善できません。しかしこれらを「さらに悪化させないこと」や、「これらの事柄による影響を改善すること」は十分に期待できます。目標と治療方針の置き方は正しく設定してご利用者様と共有していきたいと思います。
優先順位付け
以前も少しお話をさせていただきましたが、優先順位のつけ方にも施術者によってさまざまな考え方があると思います。
治りそうなところから施術をしていくこと、時間がかかりそうなところから施術をする、時間はかかるけど根本に近いところから施術をする、今一番悩んでいるところから施術をするなど様々です。また、施術者によってではなく、ご利用者様の状態や状況に応じて優先順位が変わることも度々あります。それらを踏まえて考えていきたいと思います。
まず今回のケースの方で一番気になった点が、「子どものころから」という点になります。やはりこれに関しては骨の形状による影響が大きく関係しているかなという印象を受けます。一般的には急性の経過(すぐ悪くなったもの)より慢性の経過(悪くなるまでに時間がかかったもの、長いこと悪かったもの)の方が改善までに時間を要することが多いです。
そのため、臼蓋の浅さや前捻角が影響していると思われる問題に関しては、少し中長期的な目線で継続的に改善を目指していく必要があると考えます。今回のケースの方では、改善が見られやすい順番としては、筋肉の硬さ>筋力・筋量≧体の使い方というイメージになるかと思います。
筋肉が柔らかくなることで、骨の引っ張りを改善し、骨が引っ張られ過ぎなくなることで身体(関節)の動きが良くなる。筋肉の柔軟性や関節の動きが良くなることで、筋肉が適切な力を発揮できるようになる。関節がうごくようになること・筋肉が適切に力を発揮できるようになること、筋力がつくことで姿勢(良いアライメント)を保つことができる。いい姿勢が保つことができると骨の向きによる脚の太さが改善できる。また、いい姿勢が保つことができると体の一部分への局所的な負担が減る。体の一部分への局所的な負担が減るとその部分の筋肉だけ使い過ぎなくて済む。その結果筋肉による脚の太さの改善ができる。
連想ゲームみたいになりましたが、以上のような経過での改善を目指したいということでお話をさせていただきました。
(余談ですが、私の中ではお身体を診させていただくときに、自分の推察と実際のお身体の評価結果同士の組み合わせや結びつきが大事なことだと考えています。脚の太さの改善をするためには…○○、○○のためには××の改善が必要、△△と□□だから××になっているから、先に△△と□□を改善しないと…という具合です。)
治療の優先順位(もちろんほとんどが並行して行っていきますが)をまとめていくと、
・骨盤を前傾させ、股関節伸展制限の原因となる腸腰筋、大腿筋膜張筋の硬さの改善(骨盤の過前傾改善を目標に)
・股関節が内旋位となっており、外旋制限があるため、股関節外旋可動域の獲得(大転子部の位置を改善するため)
・脊柱の全般的な屈曲制限の改善(反り腰の改善のため)
・腹横筋をはじめ下部体幹筋力の改善(反り腰や動作時の背中の力の入りすぎを改善するため)と大殿筋・中殿筋・股関節外旋筋の筋力強化(姿勢を支えられるだけの力をつけるため)
・姿勢保持の練習や動作練習、身体にあった良い姿勢の定着を目標とした感覚練習やバランス練習など(長期間の姿勢不良があったため少しずつ改善をしていく)
といったことが治療方針と考えました(施術者によって様々な意見があるかと思いますが、私の考えです)。
このような方針で施術を行っていき、その場限りだけでの脚痩せでなく、長期的に脚の健康を保ちつつの脚の太さの改善を目指すのはいかがでしょうか、ということをご提案させていただきました。
今日のまとめ
長くにわたり施術考察を書かせていただきましたが、これは初回時のカウンセリングと評価をさせていただいているときに頭の中で考えていたことの話になります。時間としては短く、おおよそ20分強くらいかと思います。文字に起こすとすごく長くなってしまいますね。。
4記事目にしてやっと治療方針について書かせていただきました。
次回でこのシリーズはまとまるかと思います。次回は実際に行っていく治療やセルフトレーニングの概要、東洋医学的な所見も少し触れられればと思います。
では今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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