Knee-in Toe-out(ニーイン・トゥーアウト)がなぜよくないのか
皆様こんにちは!Rinealの見澤です。
前回の記事からだいぶ間が空いてしまい申し訳ありません。
いきなりですが、“Knee-in Toe-out(ニーイン・トゥーアウト)”という言葉を聞いたことがありますか?
スポーツをやられている方は耳にしたことがあるかもしれません。
Knee-in Toe-out(ニーイン・トゥーアウト)とは、膝が内側に入り、つま先が外側に向いている状態を指します。この姿勢は、膝関節や股関節に負担をかけ、様々な問題を引き起こす可能性があります。
今回の記事ではこのKnee-in Toe-outがどのような影響を引き起こすのか、なぜKnee-in Toe-outの姿勢になってしまうかを考えていきたいと思います。
早速ですが、Knee-in Toe-outについて解剖学的・運動学的に見ていきたいと思います。
解剖学的視点
1. 膝関節の構造と動き
膝関節は、大腿骨、脛骨、膝蓋骨(膝のお皿)によって構成されています。これらの骨は、靭帯や軟骨によって支えられ、滑らかな動きを実現しています。
膝関節の正常な動きは、大腿骨が脛骨に対して回転しながら伸展と屈曲を行うものです。この動きには、内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯などの靭帯が重要な役割を果たします。
2. Knee-in Toe-outの影響
Knee-in Toe-outになると、以下の問題が発生します。
内側側副靭帯への負担増加: 膝が内側に入ることで、内側側副靭帯に過剰な張力がかかり、損傷のリスクが高まります。
外側半月板への圧迫: つま先が外側に向くことで、外側半月板が圧迫され、損傷のリスクが高まります。
膝関節の不安定性: 膝関節が本来の位置からずれるため、不安定となり、捻挫や脱臼などの怪我のリスクが高まります。
軟骨のすり減り: 膝関節の動きが不自然になることで、軟骨がすり減り、関節炎のリスクが高まります。
筋肉の偏った使い方:本来使うべき筋肉が使われず、特定の筋肉ばかり使ってしまい、筋肉の痛みや炎症を引き起こします
運動学的視点
1. 運動軸と可動域
膝関節には、内外側回転という運動軸があります。正常な歩行やランニングでは、この運動軸を中心に、膝関節が滑らかに動きます。
Knee-in Toe-outになると、以下の問題が発生します。
運動軸の歪み: 膝が内側に入ることで、運動軸が歪み、膝関節への負担が大きくなります。
可動域の制限: つま先が外側に向くことで、膝関節の可動域が制限され、動きがぎこちなくなります。
筋力バランスの乱れ: Knee-in Toe-outの姿勢を維持するために、特定の筋肉に負担がかかり、筋力バランスが乱れます。
膝蓋骨外側偏移の助長:Knee-in Toe-outとなることで、大腿の外側にある筋が伸張されながら収縮します。これにより、膝蓋骨を外側へ引く力が強くなり、膝蓋骨亜脱臼などを引き起こす原因となります。
2. パフォーマンスへの影響
Knee-in Toe-outは、運動パフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
筋力の低下: Knee-in Toe-outの姿勢を維持するために、本来必要な筋肉が使われず、筋力が低下します。
怪我のリスク増加: 膝関節への負担が大きくなることで、怪我のリスクが高まります。
パフォーマンスの低下: 膝関節の可動域が制限され、筋力バランスが乱れることで、運動パフォーマンスが低下します。
Knee-in Toe-outとなる原因
解剖学的要因
1. 骨格の歪み:
股関節の骨格異常: 股関節内旋や外反などの骨格異常は、膝関節の動線を歪め、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
下肢の長短差: 片足がもう一方よりも長い場合、骨盤が傾き、膝関節の動きに影響を与え、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
足関節の過回内: 足関節が過度に内側に倒れる状態は、下腿全体が内旋し、Knee-in Toe-outの原因となります。
2. 靭帯や筋力のアンバランス:
内側側副靭帯の緩さ: 内側側副靭帯が緩いと、膝関節が内側に入りやすくなり、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
外側広筋の弱さ: 外側広筋は、膝関節を外側に引き寄せる役割を持つ筋肉です。この筋肉が弱い場合、膝関節が内側に入りやすくなり、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
内転筋の過緊張: 内転筋は、太ももの内側にある筋肉群です。これらの筋肉が過度に緊張すると、膝関節が内側に入りやすくなり、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
運動学的要因
1. 運動習慣:
偏った運動: 特定の筋肉ばかりを使う運動や、片側に負担がかかりやすい運動は、筋力バランスの乱れや骨格の歪みを引き起こし、Knee-in Toe-outの原因となります。
ウォーミングアップ不足: 運動前に十分なウォーミングアップを行わないと、筋肉が硬くなり、可動域が制限され、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
オーバーワーク: 体が疲労している状態で運動を続けると、フォームが崩れ、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
スポーツにおいても、Knee-in Toe-outが起きてしまう状況は多々あります。
生活習慣的要因
1. 姿勢:
猫背: 猫背は、骨盤を後傾させ、股関節を内旋させるため、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
座り方: 長時間同じ姿勢で座っていると、筋肉が硬くなり、可動域が制限され、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
歩き方: つま先が外側に向いている歩き方をしていると、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
2. 肥満:肥満は、膝関節に負担をかけ、骨格や靭帯に悪影響を与え、Knee-in Toe-outになりやすくなります。
Knee-in Toe-outの治し方
Knee-in Toe-outの姿勢になりやすいのには原因があります。原因に関しては先ほど書きましたが、必ずしも膝だけの問題でなく、股関節や足関節、さらに体幹が関係してくることもあります。
そのため、これを治せば治るといったものでなく、原因を対処しないと改善はなかなか難しくなります。
症例
当院にご来院された患者様で、両膝の上の痛みが辛いとの訴えがありました。痛みと違和感で深くまで曲げられないという状態でした。また、踏み込みや体重がかかる瞬間で膝に痛みが強く出るとのことです。
痛みが出ている部位は内側広筋の斜走線維でした(膝のお皿のすぐ上左にある筋)
この型のランジ動作を確認すると、Knee-in Toe-outとなっており、骨盤まで踏み出し脚と反対に回ってしまう様子でした。
この型の場合、全身弛緩性も高い(何らかの要因で、全身の関節が”ゆるい”状態)方で、ランジ動作をすることで、偏平足が強調されていました。
そのため、インソールを使用し、足のアーチを上げることで、痛みが大幅に改善されていました。
さらに、足趾の運動と、臀部の筋肉トレーニングとストレッチを継続して行ったところ、痛みはほぼでなくなりました。
まとめ
Knee-in Toe-outは、単一の原因ではなく、様々な要因が複合的に絡み合って起こる可能性があります。
根本的な原因を突き止めるためには、専門家に相談し、個々の状態を詳しく評価してもらうことが重要です。
また、足底腱膜炎の改善には筋力トレーニングやストレッチを行い、適度な運動習慣を身につけることも、Knee-in Toe-outの予防や改善に効果的です。
インソール療法も非常に効果的です。
以上長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
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