膝が痛いときに考えられる原因と対処法まとめ 年代別によくある疾患と対処法

みなさまこんにちは!中央区八丁堀にある脚の専門院リネアルの見澤です!
改めてになりますが、膝の痛みは、多くの方が一度は経験する症状です。スポーツによるケガから加齢に伴う変化まで原因は多岐にわたり、「この痛みは放置して良いのか」「病院に行くべきか」と迷う方は少なくありません。
今日は、膝の痛みの仕組みを簡単に解説し、代表的な疾患を年代別に整理しました。さらに、受診の目安を判断しやすいチェック項目を紹介します!
目次
5.専門家からの実践的アドバイス(臨床でまず確認するポイント)
1.膝の構造と痛みが起こる仕組み
膝関節は大腿骨(太もも)・脛骨(すね)・膝蓋骨(お皿)で構成され、軟骨・半月板・靱帯・筋肉が連携して働きます。これらのどれか一つでも機能障害が生じると、荷重分散が乱れ炎症や痛みが発生します。主要な構成要素と役割は以下の通りです。
・軟骨:摩擦を減らすクッション
・半月板:荷重分散と関節の安定性維持
・靱帯(ACL/PCL/MCL/LCL):関節の前後・左右の安定化
・筋肉(大腿四頭筋・ハムストリング):動作のコントロールとサポート
2.膝の痛みに多い代表的な疾患と臨床的特徴(専門的解説)
変形性膝関節症(OA)
【病態】:軟骨が摩耗し、荷重面の変化で骨棘や骨硬化が生じる慢性疾患。
【症状の特徴】:動き始めの痛み(動作開始痛)→休むと軽減することが多い。進行すると階段昇降時の痛みや歩行時の痛み、安静時にも痛みが出現。
【鑑別ポイント】:X線で関節裂隙の狭小化、骨棘の形成を確認。疼痛は体重やO脚で増悪しやすい。
【臨床対応】:まず保存療法(体重管理、運動療法、物理療法)。効果不十分なら注射や手術を検討。
半月板損傷
【病態】:膝の回旋ストレスや衝撃で半月板が裂ける(縦断裂・横断裂など)。
【症状の特徴】:動作中の“引っかかり感”や“ロッキング”(曲げられない・伸ばせない)。腫脹は中等度〜強い場合がある。
【鑑別ポイント】:MRIで高信号領域を確認。臨床ではMcMurrayテストやアプレーテストで誘発痛や損傷部位を確認。
【臨床対応】:保存療法で改善しない、あるいは機能障害が明確な場合は半月板切除術もしくは半月板縫合術を検討。
靱帯損傷(特に前十字靱帯:ACL)
【病態】:急な方向転換・ジャンプ着地で断裂することが多い。若年アスリートに頻発。
【症状の特徴】:受傷時に「ポップ音」を聴くことがあり、急性期は強い腫脹(血腫)を伴う。giving way(膝が抜ける感覚)が典型。
【鑑別ポイント】:ラックマンテストや前方引き出しテスト、Nテストと言われる徒手検査やMRIで評価。
【臨床対応】:アスリートや不安定症状が強ければ靱帯再建術を検討。非手術では筋力強化で代償を図る。
関節リウマチ(RA)
【病態】:慢性の免疫性炎症で複数関節が対称性に障害される。全身症状(倦怠感・発熱)を伴うこともある。
【症状の特徴】:朝のこわばり(30分以上)があり、腫脹・圧痛が持続。関節破壊につながるため早期治療が重要。
【鑑別ポイント】:血液検査(CRP・RF・抗CCP抗体)と臨床経過で判断。
臨床対応:抗リウマチ薬等の内科的治療が主体。整形的処置は合併症や機能回復のために行う。
オーバーユース(腱炎・腸脛靭帯炎・ジャンパー膝 等)
繰り返し負荷による局所炎症(腱炎)で活動時の痛みが主体。
初期は安静と負荷調整、ストレッチや筋力バランス改善で対処。
3.年代別の出現傾向(臨床での注意点)
・20–40代:スポーツ外傷(靱帯・半月板)やオーバーユースが中心。受傷歴の確認が重要。
・50代以降:変形性膝関節症が増加。生活指導(減量・筋力強化)で進行抑制を狙う。
・小児・思春期:成長期の膝痛(オスグッド等)やスポーツ障害に注意。
4.受診の目安(セルフチェック)
以下のいずれかに該当する場合は、整形外科受診を推奨します。
・膝の腫脹・熱感がある
・歩行困難、階段昇降がつらい
・膝が曲がらない、伸びない
・痛みが2週間以上続く
・受傷後に急激に腫れた(血腫の可能性)

5.専門家からの実践的アドバイス
臨床でまず確認するポイント
1.受傷機転:事故や転倒・スポーツでの明らかなトラウマがあったか。
2.発症様式:突然か徐々にか。急性なら損傷、徐々なら変性性疾患を疑う。
3.痛みの時間帯:朝のこわばり(30分以上)は炎症性疾患のサイン。
4.腫脹・発赤・熱感:感染や強い炎症の可能性があるため早期受診を推奨。
5.機能障害の有無:歩行不能やロッキング(曲がらない)などは重症サイン。
初期対応の実践的手順(臨床で推奨する順序)
・まずは安静(負荷を避ける)。
・RICE(安静=Rest・冷却=Ice・圧迫=Compression・挙上=Elevation)で急性炎症を抑制。
・48~72時間後に痛みが落ち着けば、軽めの可動域訓練と大腿四頭筋の軽負荷トレーニングを開始。
・症状が強ければ整形外科で画像診断(X線/MRI)と専門的治療を検討。
6.治療の全体像(保存療法から手術まで)
・保存療法:体重管理、運動療法、物理療法(低周波・超音波等)、装具療法(サポーター・インソール)
・薬物療法:NSAIDs(消炎鎮痛剤)、必要時の短期ステロイド注射
・関節注射:ヒアルロン酸注射(疼痛軽減・滑走性改善)やPRP等の再生医療の選択肢
・手術療法:関節鏡手術、半月板修復・切除、人工膝関節置換術
7.自宅でできる具体的なセルフケア(推奨プログラム)
毎日行える基礎ケア(目安):
1.大腿四頭筋の等尺性収縮(座位で膝を伸ばし力を入れる 10秒×10回)
2.ハムストリングの軽いストレッチ(30秒×左右各2回)
3.膝周囲の荷重コントロール:中等度の有酸素(自転車・水中ウォーキング)を週3回程度
4.体重管理:体重を適正に保つことで膝への負担を軽減
8.受診時に医師へ伝えると診断が早くなる情報
・受傷のタイミング・機転(いつ・どのように痛めたか)
・痛む部位(具体的に内側/外側/前面/裏側)
・腫れ・熱感・発赤の有無
・痛みの変化(動作中に増すか、朝に強いか等)
・既往歴(糖尿病・リウマチなど)
9.まとめ(臨床的な要点)
膝の痛みは原因が多様なため、「痛みの発症形式(突然か徐々か)」「痛みの場面(運動時か日常か)」「腫脹・朝のこわばりの有無」を整理することで診断の優先順位がつきます。まずは該当するサインがあれば早めに整形外科受診をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 膝の痛みは自然に治りますか?
A. 一時的な炎症や筋肉疲労であれば安静やセルフケアで改善することがあります。ただし、半月板損傷や変形性膝関節症、関節リウマチなどは放置すると進行するため、痛みが続く・腫れる・動かせない等がある場合は早めに医療機関を受診してください。
Q2. どの科を受診すれば良いですか?
A. 膝の痛みは基本的に整形外科が専門です。リハビリテーション(理学療法)や、必要に応じてリウマチ内科・スポーツ整形などと連携して診療されます。
Q3. 自宅でできる効果的なセルフケアは何ですか?
A. 大腿四頭筋の筋力強化(等尺性収縮)、ハムストリングのストレッチ、適度な有酸素運動(自転車・ウォーキング)、体重管理が基本です。痛みが強いときは無理をしないでください。
Q4. サプリメント(グルコサミン等)は有効ですか?
A. 一部の症例で症状緩和を感じる方はいますが、科学的根拠は限定的です。症状改善を目的にする場合は、まず運動療法や保存療法を試し、必要なら医師に相談してください。
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